牛白血病とは

牛白血病は、体表リンパ節や体腔内リンパ節の腫大等の異常を示 す疾病であり、地方病性牛白血病(Enzootic bovine leukosis: EBL)と散発性牛白血病(Sporadic bovine leukosis:SBL)とに 分類されます。それらのうちEBLは、牛白血病ウイルス(Bovine leukemia virus:BLV)の感染が原因となる伝染性疾病であり、本 病の大半を占めています。現在、このBLV感染に対するワクチン や有効な治療法はなく、BLVに感染した牛のうち数%は、5~10 年の潜伏期間を経て、悪性Bリンパ腫であるEBLを発症します。 このように、BLV感染牛の約7割が無症状のまま一生を終えるこ とが、BLV感染への対策が遅れる一因となっています。

牛白血病

牛白血病の現状と対策

近年、国内でのEBLの発生件数が増加しており、BLVによる免疫 機能の低下や空胎期間の延長などの生産現場での被害も増加傾 向にあります。BLV感染による免疫機能の低下は、乳房炎などの 他の感染症に対する易感染性や乳量・産肉および繁殖能力の著し い低下をもたらし、生産寿命の短縮につながるなどその経済的損 失は計り知れません。しかしながら、EBLには有効な治療法はなく、 発症率は低いものの、一度発症すると必ず死の転帰をとることと なります。また、食肉処理場においてEBLと診断された場合は、全 廃棄となることから畜産農家に与える打撃は深刻であるといえま す。そのためEBL発症の予防として、BLV感染牛を確実に検出し、 ウイルスの伝播を防ぐことが、極めて有効な防疫手段となります。 そこで平成10年にEBLは新たに届け出伝染病に指定され、さら に平成27年4月には「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」 が制定されるなど、農林水産省による対策が進められつつありま す1)

牛白血病ウイルスBLV遺伝子定量法

理化学研究所の間グループにより、定量PCR法を用いてBLVプ ロウイルス量を定量するBLV-CoCoMo-qPCR法が開発されて います。このBLV-CoCoMo-qPCR法は、プロウイルスとして染 色体に組み込まれたB L Vを検出すると同時に、1コピーの BoLA-DRA遺伝子の増幅量を比較対照することにより、細胞あ たりのウイルス遺伝子量の絶対数を推定することが可能です2)

BoLA-DRB3遺伝子タイピング法

また、牛のM H C ( 主要組織適合抗原複合体)であるB o L A (Bovine Leukocyte Antigen)遺伝子群の中で、免疫学的に重 要な機能を有し、かつ最も多型に富む、BoLA-DRB3遺伝子の遺 伝型(アレル)がBLV感染によるEBL発症に関連することがいくつ かの研究により示唆されています。すなわち、理化学研究所の間 グループにより開発された、BoLA-DRB3遺伝子のアレルを特定 できるPCR-sequence-based typing (SBT) 法により、EBLの 発症の感受性・抵抗性に関わるアレルが同定されています3),4)。こ の方法による解析の結果、感受性アレルを有する個体は有さない個体と比較してウイルス感染細胞率が有意に高く、BLVを他の牛に伝播し易いことが判明しています5)

これらのBLV遺伝子定量法およびBoLA-DRB3遺伝子タイピン グ法による検査を行うことで、BLVの感染リスクと感染の有無を 明確にすることが可能であり、EBLの早期清浄化に向けての一助 となることが期待されます。

牛受託試験

検査に必要な検体について



BLV遺伝子定量法

血液、DNA溶液のどちらかの検体が必要です。

牛白血病ウイルス遺伝子定量法

BoLA-DRB3遺伝子タイピング法

血液、DNA溶液の他、毛、唾液、精液のいずれかの検体が必要です。

BoLA-DRB3遺伝子タイピング法

採血管(血液の抗凝固剤としてEDTAを用いるのが望ましい)

受託検査の流れ

STEP1 まずは、電話、FAX、メール、お問い合わせページよりお申し込み下さい。
検査についてご不明な点も、お気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせ先

STEP2 検体送付状/発注書をご送付下さい。
下記より、検体送付状/発注書をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、
検体到着日の前日までに、メールまたはFAXでご送付下さい。

STEP3 検体の送付(スワブとろ紙の場合は追跡可能な郵便も可)
検体をご用意頂き、弊社までご送付下さい。
(詳しくは、検体の送付方法をご参照下さい 。

STEP4 検査結果のご報告
検査終了後に、結果報告書をメールと郵送にてお知らせ致します。
(検査所要期間については、検査期間についてをご参照下さい 。



検体送付状/発注書のご記入について

ExcelまたはPDFの書類を下記よりダウンロードし、記入例をご参照の上、
必要事項をご記入下さい。(ご不明な場合は、お問い合わせ下さい。)

検体送付状

検体送付状/発注書

書類のダウンロードはこちら

Excel /PDF

記入例

検査期間について

午前中着の検体の場合

BLV遺伝子量定量法・・・・・・・・・・・・・7営業日
BoLA-DRB3遺伝子タイピング法 ・・・7営業日
※午後到着の検体についてはいずれも8営業日、また、再検査の場合は
  8営業日以降になる可能性があります。

検査日について

検査日

午後・土日・祝日に届いた検体は翌営業日の検査となります。

検体の送付方法

室温の場合、搬送時間3日まで可能。
それ以上かかる場合は冷蔵または冷凍で送付お願いいたします。
毛、唾液、精液については搬送時間に関わらず冷凍でご送付ください。

検体の送付方法

検体は、ヤマト運輸の宅急便で弊社までお送り下さい。
注意 : お問い合わせ番号がなく、追跡不可能な検体のご送付はお受けいたしかねますので
     ご遠慮ください。

検体の送付

お問い合わせ先

検査方法

抽出したゲノムDNAを用いて検査を行います。

① BLV遺伝子量定量法

BLV-CoCoMo-qPCR法によるリアルタイムPCRを行い、BLVウイルスの増幅と同時に内部対照のための標的遺伝子としてBoLA-DRAの増幅、測定をし、サンプル中の細胞数を推定して補正したものを勘案して各個体の細胞あたりの感染したBLVウイルス量とします。

② BoLA-DRB3遺伝子タイピング法

BoLA-DRB3遺伝子をPCR増幅後、キャピラリーシーケ
ンサーを用いたサンガー法によるシーケンシングを行い、
得られた塩基配列をタイピング用ソフトウェアを用いて解
析する、直接塩基配列決定(SBT)法による遺伝子タイピ
ングを行います。
なお、牛は同一染色体を2つずつ持っていますので、各個
体は2つの遺伝型(アレル1とアレル2)を持っています。

BoLA-DRB3遺伝子タイピング法

結果のご報告について

判定内容の説明

一般的に、ウイルス遺伝子量が10,000コピー/10万細胞 以上を示す個体は他の牛への水平伝播の可能性が高い BLV伝播高リスク牛、反対に10,000コピー/10万細胞未 満を示す個体は他の牛への水平伝播の可能性が低い BLV伝播低リスク牛と考えられています。
※詳細はお問い合わせください。

BLV遺伝子量とBLV伝播リスク

判定内容の説明


BoLA-DRB遺伝子タイプと
ウイルス遺伝子量の制御との関連性

抵抗性アレル保有牛は牛白血病ウイルスに感染してもBLV遺伝子量が上昇しにくい抵抗性牛、感受性アレル保有牛は牛白血病ウイルスに感染するとBLV遺伝子量が上昇しやすい感受性牛となります。
現在のところ、抵抗性アレルと感受性アレルを1つずつ持っているヘテロ接合体の牛は抵抗性牛とされています。

ウイルス遺伝子量に対するBoLA-DRB3アレルの効果

品種:黒毛和種

品種:ホルスタイン種


理化学研究所 間グループの研究結果による

検査結果報告書(見本)
検査結果報告書(見本)

参考文献

1.)牛白血病に関する衛生対策ガイドライン (平成27 年4 月2 日).

2.)M. Jimba, S.-N. Takeshima, K. Matoba, D. Endoh and Y. Aida (2010) BLV-CoCoMo-qPCR: Quantitation of bovine leukemia virus proviral load using the CoCoMo algorithm. Retrovirology 7 : 91.

3.)S.-N. Takeshima, M. Ikegami, M. Morita, Y. Nakai and Y. Aida (2001) Identification of new cattle BoLA-DRB3 alleles by sequence-based typing. Immunogenetics 53 (1) : 74-81.

4.)S.-N. Takeshima, Y. Matsumoto, T. Miyasaka, M. Arainga-Ramirez, H. Saito, M. Onuma and Y. Aida (2011) A new method for typing bovine major histocompatibility complex class II DRB3 alleles by combining two established PCR sequence-based techniques.Tissue Antigens 78 : 208–213.

5.)T. Miyasaka, S.-N. Takeshima, M. Jimba, Y. Matsumoto, N. Kobayashi, T. Matsuhashi, H. Sentsui and Y. Aida (2013) Identification of bovine leukocyte antigen class II haplotypes associated with variations in bovine leukemia virus proviral load in Japanese Black cattle. Tissue Antigens 81 : 72–82.

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